SFC版ドラゴンクエスト5 レビュー

・ストーリー 8/10

本作は、主人公が子供の時から物語が始まり、結婚して子供ができ、成長した子供とともに魔王を倒したところで物語が終わる。本作のストーリーは主人公の半生を謳った壮大な叙事詩ともいうことができる。

ストーリーで最も評価できる点は、主人公に最初から最後まで感情移入して楽しめる点だと思う。主人公が子どもの時代からずっと同じキャラクターで冒険を進めることができるので、プレイしているうちにだんだんと主人公と自分自身が重なってくる。

逆に評価できない点は、ずっと前に聞いた町の名前を記憶しておいたり、虱潰しにヒントを探さないとストーリー進行できない箇所が多々あったこと。僕は途中までは攻略サイトを見ずにやっていたのだが、途中であきらめてしまった。

 

・マップ 5/10

とにかくマップが広くて城や町が小さいので、新しい町を探すのが一苦労だった。地図はあるのだが、大変アバウトな上、自分の位置は表示されず、特定の場所でしか見れないので、あまり役に立っていなかった。

ダンジョンも、宝箱等があるでもなく、ただ単にプレイヤーを惑わせるための分岐が多かった。さらに一部のダンジョンでは無限ループ構造があって、攻略サイト無しでやるのはイライラすると思う。

細かい点ではあるのだが、NPCの動き回る範囲が広すぎ、非常に邪魔であること、及びBダッシュ(ダッシューズ)がないのは気になった。

 

・バトルシステム 8/10

仲間モンスターというのは大変すばらしいシステムだと思った。「どういうモンスターが仲間になるか?」によってプレイヤーごとに別の冒険ができるのは素晴らしい。

仲間モンスターについて惜しい点は2つある。まず、SFC版だと3人でPTを組むことになるので、せっかく仲間にしても戦闘に出せないメンバーが多いこと。

加えて、この時期のゲームでは当たり前のことではあるのだが、仲間モンスターの耐性がマスクデータになっていること。強いボスに対して、「ブレスが強いからブレスに耐性があるメンバーを連れて行こう」みたいなことができるようになれば、もっと考える余地が増えて面白くなったのにと思う。

 

・グラフィック 5/10

悪くはないし、FCのDQと比べるという点では進歩している点もあるのだと思う。ただ、DQ5と同じ1992年に発売されたFF5とかと比べてしまうと、どうしても水をあけられていると言わざるを得ない。

ストーリーでは、いろいろなキャラがドット絵なりに感情表現をしてくれると良かった。DQ5は感動的な場面や悲劇的な場面が多いので、なおさらそう思うところがある。

戦闘では、できれば仲間モンスターの雄姿を見たかった。

 

・総評

自分としては初のDQだったのだが、非常に楽しめた。一方で、遊びやすさという点では、どうしても昔のゲームだなあという感じがした。DQ5をやることで、逆説的に、FF5・6という作品がいかにすごいのかを認識させられる結果になってしまった。FF5や6では(全くないわけではないのだが)昔のゲーム特有の不親切さを感じることが極めて少なかった。DQ5は間違いなく素晴らしい作品だが、今からやるならおそらくSFC版ではなくリメイクをやった方が良いと思う。