SFC版FF4 レビュー

・ストーリー 9/10

王道のファンタジー、かつ、キャラクター一人一人に個性があって、ゲームとしてでなく物語としてだけ見ても楽しめるだけの出来栄えだと思う。

最も良かった点は、キャラクター一人一人の人格に奥行きがあって、人間ドラマとして高い完成度であったところ。特に、メインキャラクターの一人であるカインは、2回の裏切りと、数多くの名セリフとが相まって本作の魅力を存分に引き出した存在であると言っても良い。

・マップ 5/10

本作はマップが3つあり、前作や次回作と比べてもマップが狭いということはないはずなのだが、体感的にはかなりマップが小さく感じた。その理由は恐らく地形の個性がないことと、町が少なくだだっ広い森や平原が多いことだと思う。

FF5や6では物語が進むにつれて同じ場所であっても違う貌を見せてくれるようになるが、FF4ではそのようなものがないのもいまいちマップの奥行の不足感を醸し出しているかもしれない。

本作はストーリーがファンタジーとSFを合わせた壮大なものである。ワールドデザインにおいてストーリーのヒントになるような演出ができればよりストーリーが引き立つ結果になっていただろう。当時の技術的に仕方無いのかもしれないが、とてももったいないという印象を受けた。

・バトルシステム 8/10

ATB初実装ということで、短い開発期間、及びSFCへのハード以降という2つの関門を乗り越えて換装したことがまず素晴らしいと思う。

そうした前提の上で、一点だけ気になった点を言えば、敵モンスターの「カウンター行動」がわかりにくかった。味方が特定の行動を取った後に、モンスターがそれに対応してカウンター行動をとることがあるのだが、それと通常の攻撃の見分けがつかない。なので、どのような場合にカウンター行動するか知らないと、攻略難易度が一気に上昇するボスが複数存在する。レベル上げすればなんとかなる範囲ではあるので、そうしたメカニズムを探索的に調べるという楽しみを持てる意味では良いのかもしれない。

エンカウントについて、どんな敵からも逃げられ、かつ逃げのスピードが速いのはプレイしていて大変快適だった。逃げるとお金を落とすことがあるのだが、これは様々な意味で微妙だった。本作では最強装備がラスダンに落ちており、大量にお金を使う場面が極めて少ない。なので、終盤になるとお金を落とすことがデメリットとして機能しない。一方序盤だと連続してお金を落とすと厳しい展開になることがある。逃げにデメリットを付けたいというのは初期FFの方針だと思うのだが、本作のデメリットは効果が小さすぎるか大きすぎるかの二択なので、あまり適切とは言えないと思う。

・グラフィック 10/10

 ステータス画面でのキャラクターのグラフィックが大変素晴らしかった。敵も一体一体個性的で、戦っているだけで楽しかった。言葉が少ないが、正直FFのグラフィックは説明するまでもなくすばらしいとしか言えない。

・総評

FF5,6をやった後なので、もしかしたらあまり楽しめないかもと思っていたが、杞憂だった。FF4には、今後のFFで出てくるテーマの原型が出てきて、その後のFFを知っている者として楽しめる部分も多かった。今でもプレイするに足る作品だと思う。