英語多読感想 true tales of American life by paul auster

こんにちは。True tales of American lifeを読み終わったので、レビューを書いていきたいと思います。
まず、この本はどういう本かというと、Paul Austerがパーソナリティーを務めていたラジオ番組に投稿された話をまとめて一冊の本にしたものです。ラジオ番組では、「National story Project」と題して、「実際に起こったこと」だけを条件に話を集めたため、話の内容は様々です。一つ一つの話はそこまで長くなく、最大5ページぐらいになっています。
この本の魅力は、いろいろな人の人生の一場面に入っていけることだと思います。特に印象に残った話をいくつか紹介したいと思います。
・The Striped Pen
終戦直後の沖縄での話です。語り主は軍隊で占領統治に下士官として従事していました。あるとき、語り主はとても大切にしていたペンをなくしています。同じ種類のペンを占領下の日本人手にしているのを目にした語り主は、そのペンが盗まれたと考えペンを取り上げてしまいます。その日本人は、語り主が立場こそ違えど人間として尊敬できると考えていた人でした。数日後盗まれたと思ったペンが出てきて、実は盗まれたのではなく無くし
てしまっただけなのに語り主は気付きますが、盗んだという汚名を着せてしまった日本人とは二度と会うことはできませんでした。
この話を読んでいて思ったのは、第二次大戦が終わってから随分経つのに、ずっとこのときの日本人を語り主が覚えていたということの重さですね。戦争という剥き出しの暴力があらゆるところに権力を持ち込み、そのことによって権力を持つ側も持たない側も両方が傷ついていくということなのだと思います。
・One Thousand Dollars
この話の語り手は成功を夢見てロスに出てきた女性です。親との折り合いが悪く、というのは父親が家庭で独裁的に振る舞い、すべてを自分の思い通りにしていたからですね。最初の仕事につまづき、お金がどうしても必要になりますが、親には頼れません。そこで新聞で目にした1000ドルが報酬のアダルト映画の仕事を引き受けてしまいます。語り手にはまた別の仕事が見つかり、映画に出たのはこれきりとなったのですが、報酬は振り込まれませんでした。しばらく経ってから実家に帰った語り手は、1000ドルが親元にとどいたこと、しきし父親はそれを娘に知らせようとしなかったことを知ります。
この話はとても胸糞が悪くなる話ですが、この話をどうしても誰かに語りたかった語り主の気持ちが想像できてしまいます。
それでは。